プロジェクトマネージャ試験勉強法

平成30年春期プロジェクトマネージャ試験に合格しました。

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平成28年秋期ネットワークスペシャリスト以来の情報処理技術者試験合格です。
今回のプロジェクトマネージャ試験ではA4用紙62枚+B5ノート11枚、PMPを取得した後の2017年9月から試験日まで109時間40分、今までの情報処理技術者試験の中で一番頑張りました。
3度目の正直で合格した資格ですので、本当に感慨深いものがあります(´∀`)

そんな訳でネットワークスペシャリスト勉強法の続編として、この記事では、プロジェクトマネージャ試験で役に立った書籍や情報を書き残したいと思います。

1. 前提条件
職業:システムエンジニア(SE)
年次:中堅社員
勉強期間:2017年9日~2018年4月
勉強時間:109時間40分
過去の資格取得状況:情報処理技術者試験だと、取得順に初級システムアドミニストレータ(ITパスポート相当)→基本情報処理技術者→ソフトウェア開発技術者(現在の応用情報技術者)→情報セキュリティスペシャリスト→ネットワークスペシャリストの順に取得しました。PMPも第5版で取得済です。


2. ざっくり、どんなことをすれば良いのか
高度情報処理技術者試験の勉強で挫折する多くの原因が学習範囲が広いことかと思います。教科書の内容を全て覚えてから過去問を解くアプローチだと、よほど記憶力が良い人でないと挫折するでしょうし、実際その方法だったらプロジェクトマネージャには合格しなかったと思います。
過去の学習法を踏まえ、ざっくり言うと、以下のような方法で対策すると良いと思いました。

(1)午前試験(4択問題)は過去問をひたすら解き、足りない知識を補う。
(2)午後1試験(記述式問題)は過去問を解いて、効率が良い解法を学ぶ。
(3)午後2試験(論述式問題)は自分自身のプロジェクト経験を分野別(プロジェクト概要、PMBOKの知識エリアやプロセス)にモジュールを作成し、題意に合わせた論文の書き方を学ぶ。
(4)公開模試を受けて自分の実力を確認する。

次項以降で詳しく説明していきます。


3. 午前試験の対策方法
午前問題は過去問を解いて不正解だった問題を教科書で読み、知識を補うアプローチの方が効率的です。
まずは3年分くらいの過去問を解いて、答え合わせし、どのような問題や分野が苦手なのか確認しましょう。
午前問題については以下の無料サイトを利用して学習しました。

(1)午前2試験対策向け:プロジェクトマネージャ試験ドットコム
スマホやPCを使用し、午前II試験の4択問題を一問一答形式で学習できます。
このサイトを利用して通勤電車の時間を使用して繰り返し午前2問題の対策を進めました。
ログインIDを作成すると過去に学習した4択問題の正解・不正解を記憶させておくことができ、不正解の問題のみ再学習することが可能です。
午前1試験については応用情報技術者試験の範囲ですので、姉妹サイトの応用情報技術者試験ドットコムをご利用ください。

(2)午前1試験対策向け:応用情報技術者試験ドットコム


4. 午後1試験の対策方法
午後1問題は記述式です。
3問中2問を選択し、90分で解答する必要があります。問題選択や再確認の時間も含めると1問約40分で解けるようにする必要があります。
すなわち、高度情報処理技術者試験については、時間に限りがある中、出題された問題のどこに注意をして効率よく問題を読み解くのかが合格へのポイントとなります。
設問で問われる回答は、教科書で書かれている知識型の回答と、文脈の内容を元に回答するものの2種類があります。
午後1試験に合格する為には、時間内に過去問を解く→解説を見て答え合わせをする→回答を得るためのアプローチが合っているか解説から確認するの3点をセットにして学習する必要があります。
午後1試験学習の際には以下の書籍を購入し、利用しました。

(1)翔泳社 - 情報処理教科書 プロジェクトマネージャ
※今後学習される方を想定し、執筆時点の最新版となる2019年度版へのリンクを張っています。
三好康之著で、いわゆる「みよちゃん本」と呼ばれています。プロジェクトマネージャを学習する際の教科書と言えばこれがバイブルとなるでしょう。
Amazon Kindleの電子書籍として購入しました。
教科書的な解説があるので、午前問題の知識補完に用いるのは勿論ですが、この書籍の真髄は過去問の「問題の読み方とマークの仕方」が記載されていること、そして自己採点時にどこまで回答していたら何点となるかが記載されていることです。

過去問を自分で解いた後、解説本に記載されている箇所に近いマークの仕方ができていれば合格への近道となります。
また、自分の書いた回答が場合によっては部分点となる場合もあります。この書籍では、どこまで記載していれば何点となるのかも記載しており、自己採点の役に立ちます。
なお、この書籍内で全部の過去問解説は行なっていませんが、書籍に記載していない過去問、過去問を解く際の回答フォーマットについては購入者特典の付録として翔泳社さんのサイトからPDFダウンロードできるようになっています。

(2)秀和システム - ポケットスタディ 高度論文試験 午後Ⅰ・Ⅱ対応
情報セキュリティスペシャリストやネットワークスペシャリストの受験の際もお世話になった村山直紀著の高度論文午後1・午後2試験向けのポケットスタディです。村山直紀著のポケットスタディシリーズには過去に助けられていたので、この書籍が発売されたと聞いて直ぐに購入しました。
問題と正解のペアを分類別、出現回数別にまとめた「速効サプリ」をPMに限らず高度試験向けにまとめた書籍となります。
ポケット本サイズなので、可搬性に優れており、通勤中の車内でも開くことができるメリットがあります。

(3)プロジェクトマネージャ誰も教えてくれなかった情報処理午後試験対策上巻
※今後学習される方を想定し、執筆時点の最新版となる2018年度版へのリンクを張っています。
広田航二著のAmazon Kindleで公開されているPM午後1試験向け電子書籍です。
プロジェクトマネージャ試験の勉強に行き詰まっているときにこの書籍を見つけました。
設問を効率的に解く方法として、インタラクティブ読みを提唱しています。ざっくり言うと、以下の内容になります。
①全ての設問に目を通し、設問タイトル(例えば、〔外部設計の進め方〕])を確認する。
②問題文に目を通し、〔〕付きタイトルに対応する設問番号を書き込む
③問題文の先頭から文章を読み始める。②で印を付けた文章ブロック(設問タイトル)に出会うまで読み進める。
④印を付けた文章ブロック(設問タイトル)に出会ったら設問に目を向ける。設問に軽く目を通して、何を要求しているのかをある程度理解する。
⑤再び問題文に目を向け、設問の各問が関連している箇所がどこにあるのかつぎの文章ブロック(設問タイトル)が出てくるまで設問と問題文を交互に見比べ良い進める。
⑥その繰り返しで進める。
言葉の説明だけだと少し分かりにくいのですが、この方法を理解すると効率よく作業できるようになりました。
その他、問題文のマーキングの仕方、問の内容から解答作成ポイントの探し方、カテゴリ別の対策標語をまとめてあります。
対策標語については、秀和システム - ポケットスタディネットワークスペシャリスト(村山直紀著)の速攻サプリに似ています。このような問ではこのように回答すべしという脊髄反射の練習をします。


5. 午後2試験の対策方法
午後2問題は論述式です。
2問中1問を選択し、題意に沿った形で2000文字にも及ぶ論文を2時間以内に手書きする苦行が待ち受けています。これが嫌でプロジェクトマネージャ試験を受験しない方もいるんじゃないかと思うほど、IT技術者にとって2時間の手書き試験は地獄ですよね…
合格してみて思ったことは、題意に沿った論文さえ記述できれば、大した内容じゃなくてもA判定になるんだと言うことです。合否発表を確認したとき、「こんな内容でPM試験って合格するんだΣ」と衝撃的だったくらいだったので。
ただし、対策をせずに午後2試験に挑戦していたら、間違えなく不合格となっていました。午後2試験については、以下の2つのアプローチを利用して、論述試験に備えました。

①設問分解法
設問の内容から論文の項番を作成する方法です。
項番の作成を間違わなければ題意に合わない論文の作成を防ぐことができますし、項番の作成で時間を使うことも防げます。
例えば、以下のように分割します。

設問ア あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、代表的な非機能要件の概要、並びにその非機能要件に関して関係部門と連携を図る際に注意を払う必要があった点及びその理由について、800字以内で述べよ。

1.プロジェクトの特徴および非機能要件について
1.1プロジェクトの特徴
1.2非機能要件の概要、注意点、およびその理由

②モジュール分割法
論文ネタをPMBOKの知識エリアやプロセス毎に分割して記載し、ストックしておき、題意に沿ってそれらモジュールを組み立てて記述する方法を利用する方法です。

(1)翔泳社 - 情報処理教科書 高度試験午後II論述 春期・秋期
4.(1)と同じ三好康之著の書籍です。
Amazon Kindleの電子書籍として購入しました。
問題文の構造分析や添削前・添削後の論文例などが記載されており、どのように題意を理解し、どのように論文を記載すれば良いのか解説されています。

(2)プロジェクトマネージャ誰も教えてくれなかった情報処理午後試験対策下巻
※今後学習される方を想定し、執筆時点の最新版となる2018年度版へのリンクを張っています。
4.(3)で紹介したのはPM午後1試験向けの上巻で、こちらがPM午後2試験向けの下巻となります。
上巻と同様に広田航二著で、Amazon Kindleで公開されている電子書籍です。
A判定を取る為には設問の題意に沿って論文を記述する必要があります。題意に沿って回答しているかどうかが合格論文への第一歩となります。
設問分解法の説明、準備モジュールの内容について解説しています。

(3)iTEC - プロジェクトマネージャ 合格論文の書き方・事例集 第5版
論文の書き方を検索していたときに発見しましたが、書籍のPDFサンプルを見たら良かったので購入しました。
ちら見せっ!で試し読みすることができますのでご確認ください。
ただし、こちらは電子書籍の取り扱いがなかった為、通常の紙書籍して購入しました。内容は良い書籍なのですが、B5サイズ(縦257mm × 横182mm)なので持ち運ぶときにかさばるのが難点です。電子書籍版の発行があれば最高なんですが…


6. その他利用した教材
合格までの3年間色々模索した為、他にも購入した書籍があるのですが、気が向いたものだけ記載しておきます。

(1)TAC - プロジェクトマネージャ本科生(午前1試験免除)
情報セキュリティスペシャリストとネットワークスペシャリストではチャレンジパックを申し込みましたが、プロジェクトマネジメントについては知識が足りないと思った為、最初にPM試験を受ける際にTACの本科生(午前1試験免除)を申し込みました。
ざっくり言うと、以下の教材が含まれています。

①TAC出版発行の教科書と問題集
TAC WEB SCHOOLの授業動画(Webから専用スマホアプリで閲覧可能)、教材についての問合せ
③実力テスト(午前2〜午後2、論文試験は2回の論文添削付)
④論述試験の解き方(B5サイズの教本)
⑤公開模試(自宅受験から教室受験に変更可)

チャレンジパックとの違いは、教材に②の授業動画が含まれていることでしょうか。チャレンジパックでも本科生でも公開模試が含まれている為、公開模試を受験することで自分の実力を確認することができます。
なお、プロジェクトマネージャ試験が不合格になった場合、半額料金で次回申し込むことができる制度もあります。
TAC教材をその他に含めた理由は、3年間3回申し込みをした中で、公開模試以外の教材を有効活用できていなかったからです。
論文添削については2ウェイ添削だったのに、1回利用するのが精一杯でした…
ただ、授業動画はプロジェクトマネージャの講座を教えることができる講師陣による内容ですし、プロジェクトマネージャ試験の受験が初と言う方には良いとは思います。
また、情報処理技術者試験の公開模試としてはTACかiTECのどちらかの選択になると考えていますので、公開模試だけ申し込むと言うのはありかと思います。


7. 後日談
いかがでしたでしょうか?
ここからは受験後の後日談を書いていきます。

(1)勉強不足でした、はい。
記事の解説が午後2試験になると減っているなと感じた方がいらっしゃいましたら、それは正解です(笑)
実は今回のプロジェクトマネージャの午後2試験に費やした時間はあまり多くなく、試験直前になっても論文ネタを1プロジェクト分しか作っていない状況でした。
(合格論文となっているか否かは別として)合格前の過去2回はそのプロジェクトの内容を書いて終わらせたくらいでした。設問分解法は理解していたものの、モジュール分割したネタを少しずつストックし始めた状態で試験本番を迎えました。
問題を見た瞬間、「あ、終わったな」と感じ、IPAの合否発表も「不合格発表の確認(σ゚Д゚)σ」だと思って照会したら、こんな結果でした。どれくらい驚いたかと言うと、オフィスで「え゛~~~~~」と叫んでしまい、周囲の人間を驚かせたくらいです(笑)
それくらい論文内容がグダグダだったのですが、設問分解法で題意に沿った項番を付けることができ、多少なりともモジュール分割法によるネタのストックがあったことが合格につながったのだろうと思います。

(2)紙書籍 vs 電子書籍
最近、試験勉強する際はiPadで電子書籍アプリを活用しています。
家にいるとやる気が起きない為、喫茶店にこもって勉強することが多いのですが、iPadは非常に便利です。
上記の参考書が全部紙だったら持ち運びでかさばるし、重いし、大変な思いをしたと思います。
また、Amazon Kindleについては、電子書籍アプリの方が若干安いこともあり、参考書代の節約にもなります。
情報処理技術者試験についてはIT関係と言うのもありますし、全部電子書籍化しても良いのではと思って

この投稿が公開されてから、試験日までは6ヶ月強あります。
今後プロジェクトマネージャ試験を受験される方のご参考になれば幸いです。
プロジェクトマネージャ試験に合格したので、次はITストラテジストに挑戦したいと思います!