家族葬の難しさ

Wikipediaの記述を引用すると、家族葬とは「家族などの近親者だけで行い、近親者以外の儀礼的・社交辞令的な弔問客の参列を拒否する葬式のこと。」のことを指します。
家族葬によってはお坊さんに戒名やお経を依頼することなく、故人が好きな音楽を掛けてお別れ会として開催するスタイルもあるようです。

先日、長期の闘病生活の後に亡くなった伯父の家族葬に列席しました。
お葬式をコンパクトに開催するという点で家族葬はメリットがあるとは思いましたが、問題点もあることが分かりました。
人の死後、自分ではできない催事である家族葬に焦点を置いて、この記事を書き残したいと思います。

家族葬の問題は2点あります。


1.近親者以外が家族葬に参列しても良いのか判断が難しい
一般的に「近親者」は亡くなった方の親、子、孫、兄弟姉妹になるかと思います。
「家族葬で行う。」遺族よりと言われたときに、近親者ではない人が通夜や告別式に参列すべきかの判断が難しいです。

・遺族より訃報連絡と葬式は家族葬にすると連絡を受けたので参列しなかったのに、後日、遺族より「故人の身近な人だから連絡したのに、参列しないなんて薄情だ。」と嫌味を言われたケース。
・遺族より訃報連絡と葬式は家族葬にすると説明を受けたが、自分の両親の葬式に列席頂いた恩義もあったので斎場に出向いたら、本当に近親者のみしかおらず、自分たちは場違いだったケース。

実体験ではありませんが、身近に上記のような相反するケースがありました。
どちらも訃報連絡の際に、話の流れで通夜・告別式の会場と開催日時の説明がされていました。
遺族と参列者の思いにズレがあり、発生したことです。


2.故人や遺族の思いがあっても、近親者以外で参列する人が想定以上に多くなる場合がある
家族葬であっても、近親者に限らず、一部の身近な知り合いにだけは連絡したとします。
故人にお世話になった方が多くいる場合、一人に伝わったことで、複数人に連絡が入り、ネズミ算式に列席者が多くなるケースがあります。

先日、伯父の家族葬がこれに該当しました。
家族葬の葬儀会場は一般の会場より狭く、席に限りがあります。
一般参列者用として最初は25席くらいを用意してありしたが、通夜が始まった後に参列者が増えて行きました。
一般参列者席が満席になってしまった為、急遽スタッフの方がキャスター付きの椅子を10席程度用意しましたが、それでも収まりきらず、最終的には立ち見の方が10数名発生しました。
お年寄りも多く、10分以上の立ち見は可哀想でした…

伯父は2年以上の闘病生活であった為、伯母や従姉も伯父のこと忘れられてしまっただろうから、それほど来ないだろうと考えていたようでした。
何より本人の希望もあり、家族葬で葬儀をすることにしたそうです。
しかし、伯父は将棋を先生として教えていたのもあり、教え子の参列が多かったようです。


これら2つの問題点を踏まえ、「家族葬」を円滑に進める為にはどうすれば良いのかを考えました。


「家族葬」だから参加するのが迷惑だと思う人もいれば、「家族葬」だけど日時を教えてくれたら参加すべきだと考える人もいます。
それであれば、近親者以外の参加可否についてきちんと説明すべきだと考えます。

・近親者のみで開催するのであれば近親者以外の列席はお断りする。
・近親者以外で身近な人のみは列席して欲しいのであれば、可能であれば参加して欲しい旨を伝える。
・葬儀会場や開催日時の情報がなければ参列できない。訃報連絡の際に不用意に話さないことも重要。
・参列希望者には、家族葬の会場の都合上、座席に限りがあることを説明する。
・故人の人付き合いによって家族葬の会場で人があふれる可能性がある場合、故人を偲ぶ会やお別れ会を別途開催することも検討する。


以上により、「家族葬」に関する気付きとなれば幸いです。


ここからは余談です。

伯父の家族葬に参列したことで、祖母の葬式以来会っていなかった親族に会う機会となりました。
かれこれ10年以上ぶりの対面でした。
お葬式は故人のお別れ会であると共に、人と人を再開させる機会を提供する側面もあるんだなと感じました。

伯父のご冥福をお祈りすると共に、10年以上会っていなかった親族に会う機会を与えてくれた伯父に感謝をしたいと思います。
合掌。