車制御に日の丸OS

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・読売新聞 - 車制御に「日の丸OS」開発へ、先行の欧州勢に対抗
 経済産業省は、自動車メーカー10社と共同で、自動車の電子制御装置に組み入れる国産OSの開発に乗り出す方針を決めたらしいです。
 日本発のOSですか。国策として今回は頑張って貰いたいですね。そう心から思えるのも以前に日本初の優秀なOSの成長の目を潰されたことがあるからなんですね。

日本はWindows 95が流行する前からTRONというOSがありました。TRONとは、The Real-time Operating system Nucleusの略で、リアルタイム性を重視したOSです。組み込み系統では現在でも使われ続けているのですが、BTRONをアメリカに輸出しようとしたときに、輸出障壁だとアメリカにいちゃもんをつけられ輸出できなくなったことがありました。
もしBTRONが輸出されていたら、もしかしたらOSの勢力図が変わっていたかも知れませんね。

しかし、現在、自動車の内部は機械仕掛けというよりコンピュータ仕掛けの製品が多くなってきました。A/C、カーナビ、ETCは当然のこと、ABS(Antilock Brake System)、ドアのロック制御など、電子部品が使われていないとできないものが車に実装されているのが分かると思います。
昔の自動車は電子部品の数がそれほど多くなかったので、部品の制御はファームウェア(ハードウェアに近いソフトウェア)のみで何とかできました。しかし、現在のように電子部品の数が増え、それぞれの電子部品が相互に動作する必要がでてくると、電子部品同士の協調動作をサポートするためのシステムが必要になります。それがOS(オペレーティングシステム)という訳です。

何か特定のシステム向けのOSを作るときに、OSに実装した方が良い物と、電子部品に実装した方が良いものがあります。
OSに実装した方が後々便利なものは、電子部品が共通して用いることができ、車を動かすための根本となる通信システムやリアルタイム制御、優先度制御などです。一方、電子部品は、その電子部品自信の役割に特化したものを組み込めば良いということになります。こうすることで、共通部分も一々個別に実装していた手間から解放され、コストダウンを図れることになります。

今回注目すべき点は、日本の自動車産業が協力してOSを開発するということではないでしょうか。
自動車に組み込む電子部品を製造する企業にとっても、他社の電子部品を全く一から製造する必要が無くなると言うスケールメリットがあるので、世界の自動車産業の中で生き残るのに必要なこととなるでしょう。

BTRONのように輸出障壁の問題にはならないと思いますが、世界でも強い日本の自動車産業、その日本発のOSとして頑張って貰いたいと思います。