大地震でも東北新幹線で新幹線が脱線しなかった理由

東北地方太平洋沖地震では、東北新幹線を走行中の新幹線は脱線せずに停止しました。
※仙台駅付近で試運転車両が脱線しましたが、地震により橋脚がずれた為です。
東北新幹線で新幹線が死傷者も出さず、脱線せずに停止した理由がNHKニュースの記事にありました。

・新幹線 揺れ9秒前にブレーキ(NHKニュース/4月5日 19時20分)

今回の地震で、東北新幹線は地震の揺れをいち早く検知するシステムが作動して、最初の揺れの9秒前、最も大きい揺れが起きる1分10秒前に非常ブレーキをかけて減速を始めていたことが分かりました。JR東日本は、この効果もあって新幹線が脱線を免れたとみて、データの詳しい解析を進めています。
地震発生当時、東北新幹線は27本の列車が乗客を乗せて走っていましたが、いずれも脱線せず停止しました。JR東日本は、東北新幹線の沿線のほかに、太平洋沿岸にも岩手県の宮古や宮城県の牡鹿半島などに9つの地震計を設置し、揺れをいち早く検知して列車を減速させる「早期地震検知システム」を備えています。今回は、東北新幹線の線路からおよそ50キロ離れた牡鹿半島の地震計が、午後2時47分3秒に運転中止の基準となる「120ガル」という地震の加速度を捉えました。このため、システムが自動的に架線を停電させ、走行中の新幹線は一斉に非常ブレーキをかけて減速を始めました。このうち、線路沿いの地震計が最も大きな揺れを観測した仙台駅と、1つ北の古川駅の間には「はやて27号」と「やまびこ61号」が走っていましたが、JR東日本がデータを解析したところ、これらの列車が非常ブレーキをかけた9秒後から12秒後に最初の揺れが始まりました。そして1分10秒後に最も強い揺れが起きていました。このとき新幹線が何キロまで減速できていたかは分かっていませんが、JR東日本は強い揺れの前に減速を始めていたこともあって、新幹線が脱線を免れたとみて、さらに詳しくデータの解析を進めています。


走行速度にもよりますが、新幹線が停止するまで90秒〜120秒必要だと言われています。
最も大きな揺れが来る70秒前から減速できたことが脱線防止に効果的だったみたいですね。

新潟県中越地震では、上越新幹線とき325号新潟行が脱線しましたが、それは直下型であり、ユレダス検知前に大きな揺れが襲ってしまった為です。
260km/hで脱線したものの、雪害防止用のスラブ軌道、鋼鉄製の重い車両(200系)、マウント構造の新幹線、対向に走行中の新幹線がいなかったという幸運から死者を出さずに済みました。

さて、東海道新幹線で出発直後に偶然撮影されたものですが、早期地震検知システム(ユレダス)が作動した場合の動画がありました。

N700系のぞみ号の緊急停車シーン

鉄道車両は発車するときに電気の力でブレーキを緩解させます。
ユレダスが大地震を検知した場合、変電所は架線への送電を遮断します。
これにより、ブレーキが自動的に掛かり、新幹線は非常停止するようになっています。
まさしくフェイルセーフの概念ですね。
※厳密にはコンプレッサからの圧縮空気を送ってブレーキを緩解しているとか、停電時に回生ブレーキが使えないと停止距離が伸びる気がするとか色々ツッコミ処がありますが、その辺はご愛敬で。

JR東日本の新幹線は2度も大きな地震に遭遇しました。
2度の大きな地震で得られた経験とデータを活かし、新幹線の安全性を更に向上させて欲しいです。